キャビンアテンダントが独り立ちするまで  〜入社後に待ち構える鬼の初期訓練〜

目次

採用の倍率

高い時には、100倍以上と、言われることもあるキャビンアテンダントの入社試験です。
数字で表すのは少し無理がありますが、数10倍〜数100倍で採用試験を突破しなければなりません。

ですが、2010年以降の格安航空会社及び、新規航空会社の設立により、採用を行う航空会社の可能性は年々広がり、増えていっているといえます。

チャンスはどんどん広がっているんですよ!

コロナの状況が早く落ち着き、航空事業が活発に再開されることを願うばかりです。

さらに、規模の大きな会社では100人単位、規模の小さな会社では1桁単位の採用が行われています。
また外国の航空会社では、15年ぶりに採用活動が行われるといった、応募するチャンスが滅多にない会社も存在しています。

数字だけ見ると「キャビンアテンダントになるのは難しいのかな、、、」と感じてしまうかもしれませんが、依然として女性の憧れで人気のある職業は、記念受験をする人が、倍率をあげていることも事実です。


記念受験者の中には、準備不足な人も多いため、きちんと書類や面接の受け答えを対策していくことで、あなた自身が、夢の採用を勝ち取る一人になることができます。

訓練期間

入社後、短いところでは1ヶ月半、長いところで半年間の時間をかけて初期訓練が行われます。
短い期間の会社ほど、効率的に重要事項を学べ、いち早く独り立ちできるという良い点がありますが、かなりの詰め込み授業になります。

一方で、長い期間の会社は、時間をかけて学べるのですが、お国柄、訓練の日程が急遽大変更になるといった「いつ終わるのかわからない、先が見えない状態に陥る」などの点があり、訓練期間が短くても長くても、精神的、身体的、厳しさはどちらも同くあります。

初期訓練では、新しい知識を次々に学ぶ必要があり、「確認テストの嵐」「数回落ちたら即退場」というよな、本当に厳しい規定が設けられている会社が多いです。

「泣く」「叫ぶ」「眠れない」「病気になる」といった経験をする訓練生がたくさんいます。

高い倍率を経て、幾度の面接を乗り越えて入社できたのも束の間、採用後に待ち構えた初期訓練が本当に、本当に過酷です。


この初期訓練、経験者たちからは「採用試験よりも大変だった」という声が上がるほど、大変な内容となっています。

ではどのくらい大変なのでしょうか?

具体的には、「5cmほど厚さのあるマニュアル本5冊程度(またはそれ以上)を訓練中に、全て覚えてくださいね!」といったイメージです。1冊が何百ページもあり、気が遠くなるくらいの情報量です。

今でこそ、電子書籍を使用したマニュアルが主流となっていますが、紙のマニュアルで訓練を受けていた時代は、「読んでも読んでも終わらない六法全書を毎日持ち歩く」ような気分でした。

訓練内容

大抵の航空会社が、月曜日〜土曜日の週5〜6というスケジュールで、朝8時半から18時までという時間内に訓練を行っています。(お昼1時間休憩)

日本の会社であれば日本語。
外国の航空会社であれば、英語と現地の言葉で授業が行われることがあります。

外国航空会社でかつ、母国語が英語でない会社では、現地の言葉で訓練が行われることが多々あるため、訓練の合間に少しずつ、現地語を学んでいこうという気持ちを持つことが大切です。

訓練内容は大きく分けて4つです。

  1. 航空知識
  2. 保安知識
  3. サービス訓練
  4. 実地訓練(OJT)

航空知識

  • 機材の種類、機材の違い、飛行機の構造、航空機のパーツ、飛ぶ原理、など
  • 会社における労働基準、その他

保安知識

  • 機内の緊急事態におけるさまざまな対処法(ハイジャック、緊急着陸、火事、減圧状態、心肺蘇生法 など)
  • 緊急機器の使用方法、配置、数、その他

サービス訓練

  • 機内の備品、サービスの種類、機内アナウンス、他言語、その他

実地訓練

  • 保安と航空知識、サービスを全て学んだ後、総合審査のための実地訓練

耳にしたことがあるかもしれませんが、OJT=On the Job Training=実地訓練です。

訓練生として、先輩キャビンアテンダントと同行し、実際に飛行機に乗り業務に就き、知識として学んできた全ての確認が口頭試験で行われます。

キャビンアテンダントの初期訓練が「大変だ!難しい!きつい!」と言われる理由には、航空知識と保安知識の机上訓練が一番に挙げられるでしょう。

というのも、航空知識と保安知識は専門的な内容であり、「機内の安全を守る」キャビンアテンダントたちの間違えが許されないためです。

正しい知識を確実に身につけるために、内容ごとに筆記試験が毎回行われ、合格点を取れなければ、前に進むことができません。

試験不合格後の対処も航空会社によってさまざまで、
1度不合格になった場合は次のテストを90%正解しないといけない、
不合格は1回までで2回目は即刻クビなど、
なかなか厳しいルールとなっています。

せっかく採用されても、訓練でリタイアという状況だけは避けたいですよね。

膨大な知識と情報を毎日詰め込まれる中で、インプットとアウトプットを繰り返さなければならない状況は本当に辛いです。

試験の質問は選択肢形式の場合がほとんどですが、内容が多岐にわたるため、範囲が広くて覚えることだらけ。

特に外国航空会社の場合は、英語で全てを学ばなければならない、2重の苦しみです。

CAユーチューバーのRYUさんが訓練のお話を面白おかしく語ってくれています。ぜひ見てみてくださいね。

こちら、真実です!!笑↓↓

私の訓練時代

「訓練は大変よ〜」ということを採用後に上司から、散々言われてきていたため、始まる前の心の準備は整っていたのですが、特に私の場合、訓練中の英語に、本当本当に悩まされました。

といのも、採用当時の私の英語力はTOEIC500点、英検2級程度。
外国で働きたい気持ちだけは強く、英語はあまり得意でない訓練生でした。

私のいた航空会社は英語を母国語とする国ではありませんでしたが、訓練の8割が英語、2割が現地の言葉で行われていたため、それを機に現地語の勉強を開始。

何より驚いたのは、現地語の「音」が私の肌に合っており、英語の「アクセントの強い音」がなかなか好きになれず不得意だった私は、その時初めて、語学にも「合う合わない、得意不得意、好き嫌い」があるんだなーということに気づいたことでした。

英語は今でも苦手意識が強く、私にとってできる限り使いたくない言語No1なのですが、勉強を続けています。
やはり世界共通語と言われる英語は、最低限使えないとキャビンアテンダントは務まりません。

その甲斐あって、現地の言葉は入社後、かなり得意になりました。

また訓練中はできる限り、わからなかった英単語を辞書で引き直し、確認し、日本語訳をメモし、次の日の訓練に参加する毎日。

膨大な航空英単語を辞書で引く時間と、学んだことを復習する時間を合わせると、他の人よりも2倍の時間がかかってしまい、夜中までの勉強はいつものこと。

毎週行われる試験の当日は、朝ご飯の時間も惜しくって、朝は食べない、なんてこともありました。

一度試験に落ちると、2回目の合格点が9割になり、さらに合格が遠くなります。
落ちることへの恐怖。。。

録音した教官のボイスレコーダーを訓練所に向かうバスの中で聞き直し、経験者の同期に日本語の解説を頼む勉強づけの日々でした。

知らず知らずの間に、どこで感染したのか、コレラになって入院し、外国の地で人生初の点滴も経験。

良かったことに私の同期には脱落者は一人もおらず、全員無事に初期訓練を経てキャビンアテンダントになりましたが、本当にキツかった訓練、もう2度とやりたくないというのが正直な気持ちです。

華やかに見えるキャビンアテンダントの仕事ではありますが、この初期訓練を乗り越えることで、改めてキラキラしたイメージだけでない、「なぜ飛行機にキャビンアテンダントが必要なのか」を理解することができようになります。
また独り立ちしてからも自信を持って業務をできるようになるための、必須の鬼訓練です。

責任感が求められ、やりがいのある空のプロフェッショナル、キャビンアテンダントという職業。

大変だけど、最高に楽しい!

ぜひ、夢を叶えて行きましょう!!

Follow me!

航空業界で働く夢をかなえてみませんか?

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事